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北極近辺のツンドラ地帯には、「レミング(和名:タビネズミ)」という小動物が生息している。このレミングは、ある不思議な現象を引き起こすことで知られている。その現象とは、「個体数が増え過ぎた時、ある日突然に、集団を作って崖まで直進し、次々に海へと飛び込んで溺れ死んでしまう」というものである。今回は、この「レミングの集団自殺」とも呼ばれる、謎の現象の真相に迫る。
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レミングの詳細と習性

レミングは体長7~15cm、体重30~112gmほどの大きさであり、長くてやわらかい毛と非常に短い尾を持っている。草食のため、草やコケ小枝などを食べている。オス・メスともに縄張りを持ち、繁殖のための短い期間を除けば、単独で行動している。

またレミングは、3~4年周期で個体数が急激に増減するということが知られている。大増殖の原因についてはよく解っていないが、その後の激減については、餌の不足や天敵による捕食などが、主な原因であると考えられている。

「レミングの集団自殺」とは?

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ヨーロッパ北部の一部の地域では、古くから「レミングは、集団で海に飛び込む」という伝説が存在している。これは「個体数がピークに達すると、レミングは一斉に海を目指して大移動を始め、大群となったレミングの行列は、海に面した崖を前にしても止まらずに直進する。そして、次から次へと海に身投げし、溺死してしまう」というものである。この現象については、現在では「レミングの集団自殺」、「レミングの死の行進」などとも呼ばれている。

実際に、1958年に「ウォルト・ディズニー・スタジオ」によって製作・公開された、ドキュメンタリー映画「White Wilderness(白い荒野)」では、それまで映像記録が存在しなかった「レミングの集団自殺」の瞬間を撮影することに成功している。その後、同年にこの記録映画は、アカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞している。

生物学においての仮説

生物学においては、「集団選択説」と呼ばれる生物の進化に関する一つの仮説が存在する。これは、「全ての生物は、その種の保存・維持・繁栄のために行動する」というものである。

この仮説は、様々な生物の習性・行動に対して用いられており、「レミングの集団自殺」については、長年の間、「種の絶滅を避けるための個体数調節である」と考えられていた。

その真相とは?

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現在では、実際には「レミングの集団自殺」という現象は存在せず、下記の理由から生まれた誤解であると考えられている。
  • 集団で川を渡ったり、崖から海に落ちてしまうことがある
  • 周期的に大増殖と激減を繰り返しており、集団移住の後には、個体数が激減している
  • 「生物は種の保存のために行動する」という、1960年代に提唱された俗説「集団選択説」が、この逸話と合致している
1983年には、カナダ放送協会のプロデューサーであるブライアン・ヴァレーの調査によって、ドキュメンタリー映画「White Wilderness」の中に収められている「レミングの集団自殺」のシーンは、全てが捏造されたものだったということが判明している。その後、現在に至るまで「レミングの集団自殺」の映像を記録することに成功したという事実は確認されていない。

生物学における集団選択説については、1960年代に提唱されてから半世紀以上も経過しているが、現在までその仮説を立証するための具体的な根拠は確認されておらず、あくまで憶測の域を出ないものとされている。またレミング以外の生物でも、昆虫類のサバクトビバッタや、魚類のイワシなどが、原因不明の大発生と減少を繰り返す習性があることが確認されている。

ちなみにヨーロッパ北部の一部の地域で古くから伝わっている、「レミングの集団自殺」を思わせるような伝説については、他にも「レミングは、雲の中から自然発生する」、「レミングは、雲から生まれてくる」というような突拍子もないものもあり、単なる見間違いによって生まれたものだと考えられる。

関連動画

この動画は、1958年に公開された、ドキュメンタリー映画「White Wilderness」の中に収められている、「レミングの集団自殺」のシーンだけをカットしたものである。動物好きの方には、ショッキングな内容となっているため、閲覧には注意していただきたい。



管理人から一言

ディズニーさんは、ネズミを大切にするべきだと、思うんです…。