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「冠着山(かむりきやま)」とは、長野県千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる山のことである。この山は、別名「姨捨山(おばすてやま)」とも呼ばれており、「昔々の食料が貧しかった時代、口減らしのために高齢になった親を、山の奥深くへと置き去りにして捨ててくる習慣があった」という、「姨捨伝説」の舞台になった地として広く知られている。
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冠着山とは?

「冠着山」とは、長野県千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる山のことである。その標高は1,252mであり、この山は長野盆地の南西端に位置している。

その山頂には、冠着神社を祀る祠と鳥居があり、祭神はツクヨミである。また7月頃には、山頂付近で蛍が舞っており、この山頂からの月見は「日本三大名月」の一つにも数えられている。

この山は、別名「姨捨山(おばすてやま)」とも呼ばれており、古くから伝わる「姨捨伝説」の舞台になった地として一般的には広く知られている。

姨捨伝説の詳細

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姨捨伝説とは、「昔々の食料が貧しかった時代、口減らしのために高齢になった親を、山の奥深くへと置き去りにして捨ててくる習慣があった」というものである。

これは平安時代中期に書かれた歌物語「大和物語」に収められている、「姨捨」という話が初出だとされている。他にも14世紀には存在していた能の詞章「謡曲」、平安時代の回想録「更級日記」、同じく平安時代の説話集「今昔物語集」などでも、類似した話が確認されている。

また姨捨伝説をもとにした民話なども多く確認されており、その物語の内容は、主に下記の二つに分けられる。

  • 老人の知恵を描いたもの
昔々、ある国のお殿様が、「年老いて働けなくなった老人を山へと捨ててくるように」と、村人たちへ命令を出しました。村人の一人である男が、この命令に従って泣く泣く、自分の年老いた親を山へと捨てようとしましたが、結局捨てることができません。そこでその男は、こっそりと自分の親を家の床下に隠し、一緒に生活をしていました。

それからしばらく経ったある日、お隣の国がこの国にいくつかの難しい問題を出し、「その問題を解くことができなければ、国を滅ぼす」と脅してきました。お殿様とその家来はどれだけ頭を使っても、その問題を解くことができません。

そんな時、家の床下に隠れて生活をしていた老人が、豊富な知恵を使って見事にその問題を解き、お隣の国を退散させることができました。お殿様は「老人には、多くの貴重な知恵がある」ということに気づいて命令を撤回し、それからこの国では老人を大切にするようになりました。

  • 深い親心を描いたもの
昔々、ある男が食料が底をつきそうになっていたため、困り果てていました。そんな時、その男の年老いた親が、「私を口減らしのために山の奥深くへと捨ててきなさい」と息子に言いました。息子はさんざん悩んだ挙句、自分の親を山へと捨ててくることに決めました。

自分の年老いた親を背負い、山の奥深くへと歩いている時、親が通り道に生えている小枝を折っていることに気がつきました。息子が「それは何故か」と尋ねると、親は「お前が帰る時に、道に迷わないようにするためだ」と答えました。

息子は、自分が山へと捨てられるという時でも、我が子を思う深い親心に強く心を打たれ、自分の行いを恥じて親を家へと連れ帰り、貧しいながらも一緒に暮らしました。

その真相とは?

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現在、姨捨伝説については、下記の理由などから「事実に基づいた話ではなく、完全なる創作話である」という見方が有力だとされている。
  • 口減らしには山の奥深くへと捨ててくるより、窒息・絶食などの方法を用いた方が確実であり、手っ取り早い
  • 全ての老人が、風習に従って死を受け入れるとは考え難い
  • 風習に従うことを拒否した老人たちが結束し、暴動を起こす可能性が高い
  • 運搬・引率できる範囲の場所であれば、何人かの老人が帰還してしまう恐れがある
  • 老人が絶対に帰還できないような場所に捨ててきた場合、運搬・引率した者の生命が危険になる
  • 農業では畑を耕したり、収穫を行うなど、老人の手伝いを必要とする作業がいくらでもある
姨捨伝説に関連するものと考えられる法令などの公的記録は、現在まで一切確認されておらず、平安時代に書かれた「大和物語」をはじめ、古い文献に書かれているような姨捨伝説に酷似した話には、その舞台となった特定の地名や具体的な人物名などは書かれていない。

冠着山が「姨捨山」と呼ばれるようになった経緯は不明だが、一説では「昔、冠着山は墓地に代わる死体捨て場として使用されていた時代があり、その時にはすでに存在していた姨捨伝説との共通点を見出した人々が、自然に『姨捨山』と呼ぶようになったのではないか」とも言われている。

また姨捨伝説は、古代インドの老人の知恵と深い親心を取り扱った話が起源だとされており、日本以外のアジア諸国やヨーロッパの国々にも、古くから姨捨伝説に類似した民間伝承が多数確認されているため、その事実関係は低いものと考えられる。

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管理人から一言

そんな古い時代には、食糧問題に影響が出るほど老人はいませんよね…。