201602250101

「二重スリット実験」とは、1961年にドイツにあるテュービンゲン大学のクラウス・イェンソンという人物によって初めて行われた、ミクロの物質の物理量を表す最小単位である量子が、重ね合わせの性質を持つことを証明することになった実験のことである。その実験の内容とは、「二本のスリット(切れ目)がある板に、代表的な量子の一つである電子を発射した場合、その板の向こうにはどのような模様が浮かび上がるのか?」というものである。その後、この実験は世界各国で何度も追試が行われており、現在では「世界で最も美しい実験」などとも呼ばれている。
スポンサーリンク

「二重スリット実験」とは?

「二重スリット実験」とは、1961年にドイツにあるテュービンゲン大学のクラウス・イェンソンという人物によって初めて行われたという、ミクロの物質の物理量を表す最小単位である量子の性質を確かめるための実験のことである。

この実験によって、現在では量子力学の基礎とされている、コペンハーゲン解釈における「量子は粒子的な性質と波動的な性質の両方を持ち合わせている」という、重ね合わせの性質の正当性が証明されることになった。

その実験の内容とは、「二本のスリット(切れ目)がある一枚目の板を置き、その板の後ろ側には電子の着弾によって感光し、電子の着弾分布を記録することができる二枚目の板を置く。そして、一枚目の板に電子銃を用いて、代表的な量子の一つである電子を大量に発射する。この時、二枚目の板にはどのような模様が浮かび上がるのか?」というものである。1999年には、オーストリア人の量子物理学者であるアントン・ツァイリンガーが、「フラーレン」という数十個の原子から構成される大きな分子を使って同様の実験に成功している。

その後、この実験は世界各国で何度も追試が行われており、2002年にはイギリスの科学雑誌「フィジックス・ワールド」の読者による投票において、「世界で最も美しい実験」にも選ばれている。

「二重スリット実験」における仮説

201602250102

この「二重スリット実験」に先立って、その実験結果については下記の二つの仮説が立てられていた。

1. 電子=通常の粒子

仮に電子が通常の粒子である場合、二枚目の板には、二本のスリットと同じ形の模様が浮かび上がる。これは電子が通常の粒子であれば直線的な弾道を描き、二本のスリットを通過した電子のみが二枚目の板に着弾するためである。物理学的には電子は粒子だと考えられているため、この仮説の通りになる可能性が高かった。


2. 電子=波動

仮に電子が波動である場合、二枚目の板には、干渉縞(この実験の場合では、内側の線が太く、外側の線が細い縞模様)の模様が浮かび上がる。これは電子が波動であれば波形の弾道を描き、二本のスリットを波源として発生した波動が干渉し合った状態のまま、二枚目の板に着弾するためである。

「二重スリット実験」の実験結果

201602250103

この「二重スリット実験」では、いくつかの方法を用いて実験が行われており、その結果とは下記の通りである。

1. 大量の電子を同時に発射

まず、最初に大量の電子を同時に発射した際、二枚目の板には、電子が波動であることを証明する干渉縞の模様が浮かび上がった。物理学的には電子は粒子だと考えられていたため、干渉縞の模様が浮かび上がったことについては説明がつかず、物理学の根底を覆すような奇妙な結果となった。


2. 電子を一つずつ発射

この実験に関わった多くの物理学者が、大量の電子を同時に発射した際に干渉縞の模様が浮かび上がった原因については、電子が空中で互いにぶつかり合ったことにあると考えた。そのため、電子を一つずつ発射し、その可能性を完全に排除した状況下で再度実験が行われた。その結果、大量の電子を同時に発射した際と同様に、二枚目の板には電子が波動であることを証明する干渉縞の模様が浮かび上がった。


3. 観測を行った状態で電子を発射

電子を一つずつ発射した際にも干渉縞の模様が浮かび上がった原因については、物理学的には全く説明がつかないものである。そのため、二本のスリットがある一枚目の板の直前に測定装置を設置し、電子がどのような弾道を描いているのか、また電子が二本のスリットのうち、どちらのスリットを通過しているのかを調べるための実験が行われた。その結果、それまでの実験とは異なり、二枚目の板には電子が通常の粒子であることを証明する、二本のスリットと同じ形の模様が浮かび上がることになった。


つまり、この実験の結論としては、電子は粒子的な性質と波動的な性質の両方の性質を合わせ持っており、観測という行為が実験に加わっていない時には波動の弾道を描き、観測という行為が実験に加わっている時には粒子の弾道を描くという、常識では考えられないような事実が判明したのだ。この信じ難い実験結果については、その後、世界各国で何度も追試が行われており、この実験自体には何ら誤りがないことが証明されている。

しかし、現在では観測という行為が量子に影響を与える現象について、「観察者効果」という呼び名がつけられたものの、量子における観測という行為、また観測者の定義については全くわかっておらず、これらの「観測問題」と呼ばれる一連の問題は、量子力学における最大の難題の一つとされている。

関連動画

この動画は、「二重スリット実験」についてアニメーションを使って、わかりやすく解説した動画である。その解説の内容はともかく、博士のヤングな衣装に目が行ってしまうものとなっている。

 

管理人から一言

量子力学は、この世界の謎を解明する鍵のような気がします…。