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「逆転クオリア」とは、同じ物理的な刺激に対して、人々が全く異なるクオリアを抱いている可能性を議論するために用いられる、哲学における思考実験のことである。「クオリア」とは、意識内の客観的には観察できない主観的な性質のことであり、例えばリンゴを見た時に感じる「赤い感じ」などのことである。自分がリンゴを見た時に感じる「赤色」という色が、相手には「青色」という色に感じられていると仮定した場合、お互いの色に対する認識・定義については完全に主観的なものであるため、日常生活では論理的な矛盾が生じることはなく、そのことを我々が判別することはできない。この思考実験は、「逆転スペクトル」とも呼ばれている。
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「逆転クオリア」の詳細

「逆転クオリア」とは、同じ物理的な刺激に対して、人々が全く異なるクオリアを抱いている可能性を議論するために用いられる、哲学における思考実験のことである。また「逆転スペクトル」とも呼ばれている。

「クオリア」とは、例えばリンゴを見た時に感じる「赤い感じ」、氷に触れた時に感じる「冷たい感じ」、チョコレートを食べた時に感じる「甘い感じ」など、意識の中に発生する様々な性質の内、客観的には観察できない主観的な性質のことである。

この思考実験については、主に視覚を例にして議論されることが多く、自分がリンゴを見た時に感じる「赤色」という色が、相手には「青色」という色に感じられていると仮定した場合、お互いの色に対する認識・定義については完全に主観的なものであり、客観的に両方を照らし合わせて比較することなどは現実的に不可能である。そのため、日常生活では色に関する様々な行動や発言などが人々の間で交わされているが、そこには論理的な矛盾が生じることはなく、そのことを我々が行動的・言語的に判別することはできないとされている。

ジョン・ロックによる主張

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この「逆転クオリア」という思考実験については、イギリス人の哲学者ジョン・ロックが約20年を費やして書き上げ、1689年に出版された「人間知性論」という哲学書の中で取り上げられたことが初出だとされている。

その人間知性論の中において、ロックはスミレとセンジュギクの花の色を例として持ち出しており、「全く同じような物理的な刺激が、別々の人間に異なる観念を抱かせたとしても、その観念には名前が付けられて別々に区別されるため、何も論理的な矛盾などが生じることはなく、その可能性について検討する必要はない」ということを述べている。

この思考実験の解釈

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この「逆転クオリア」という思考実験については、哲学における機能主義という考え方を批判するものとして用いられることが多い。「機能主義」とは、心的な状態は全てが機能的な役割によって定義されるという考え方のことである。

つまり、機能主義では、自分が「私は赤色という色を見ている」という経験と、相手が「私は赤色という色を見ている」という経験は全く同じものだと考えられる。しかし、この逆転クオリアが起きていれば、お互いの経験には差異が生じているため、機能主義という考え方は誤りということになる。

しかし、最初にこの問題を取り上げたとされるジョン・ロック自身が述べている通り、現時点では自分と相手が持つクオリアを照らし合わせて比較することは不可能なことであり、行動的・言語的に判別することができないため、この逆転クオリアという思考実験については、「考えるだけ無意味なことである」という立場の者が多いというのが現状となっている。

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管理人から一言

思考実験には、いろいろなものがありますね。(「色」だけに…)