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「This Man」とは、2006年1月にアメリカ合衆国の都市ニューヨークにある病院にて、初めてその存在が発見され、現在でも捜索活動が続けられているという、世界中の人々の夢の中に現れる謎の男性のことである。それは、ある有名な精神科医のもとに一人の女性患者が訪れ、「最近、夢の中に全く知らない男性が現れる」と相談し、その男性の似顔絵を描いたことが事の発端となっている。その男性は太く濃い眉毛に大きな目と口を持っており、頭髪は薄く、どこか不気味な印象を与えるような風貌をしていた。現在では、世界中の約2,000人以上の人々から、「その男性を夢の中で見たことがある」という報告が寄せられているのだという。
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「This Man」発見までの経緯

2006年1月、アメリカ合衆国の都市ニューヨークにある病院に勤務する、ある有名な精神科医のもとに一人の女性患者が訪れてきた。その患者は「最近、夢の中に全く知らない男性が現れる」と相談し、その男性の似顔絵を描いた。その男性は太く濃い眉毛に大きな目と口を持っており、頭髪は薄く、どこか不気味な印象を与えるような風貌をしていた。

その患者は「夢の中でこの男性が、私のプライベートなことに関する様々なアドバイスをしてくれる」のだと主張した。この時、担当した医師は特別な治療を必要とするような症状ではないと考え、単に日常生活のストレスが原因となっている、一時的な悪夢のようなものだと患者に説明し、その患者は帰っていった。

それから数日後、その医師のもとを別の男性患者が訪れる。その患者は、先日の女性患者と同じように「一度も会ったことのない男性が、毎晩のように夢の中に現れる」と相談した。そして、その患者が男性の似顔絵を描いたところ、先日の女性患者が描いた男性の似顔絵と特徴が全く同じだったのだ。

このことに驚いた医師は、同僚の医師たちに似顔絵のコピーを送り、同様のことが起きていないか情報を求めた。その結果、他にも合計で四人の患者が、夢の中でその男性に会ったことがあると発言していることが判明した。この不思議な出来事に興味を抱いた医師たちは、その夢の中に現れるという男性を「This Man」と名付け、「Ever Dream This Man?」というウェブサイトを立ち上げて捜索活動を開始した。

その結果、ロシア・フィンランド・ドイツ・フランス・ブラジル・ベネズエラなど世界各国の国々に住む、約2,000人以上の人々から「その男性を夢の中で見たことがある」という報告が寄せられたのだという。

「This Man」についての仮説

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この「This Man」と呼ばれる男性については、インターネット上などでいくつかの仮説が立てられている。

  • 何かの象徴説
これはスイス人の心理学者カール・グスタフ・ユングによって提唱された分析心理学における、「元型」という一つの概念に基づいた説であり、「例えば、『とてもストレスを感じている』というような状況下で夢を見た際に現れる、何かの象徴なのではないか」というものである。

  • 宗教のイメージ説
これは宗教学の観点から考え出された説であり、「宗教を信仰する人々が日常的に抱いている、『神』の総体的なイメージが生み出した産物なのではないか」というものである。

  • 実在する男性説
これはサイエンス・フィクションの観点から考え出された説であり、「この『This Man』は世界のどこかに実在しており、人々の夢の中へと入り込むための何らかの能力や技術を持っているのではないか」というものである。

  • 記憶の影響説
これは「This Man」の似顔絵を見たことによる記憶が、夢に影響を及ぼしているという説であり、「何らかの経緯で『This Man』の似顔絵を見た人々が、その記憶の影響によって『This Man』が現れる夢を見ただけなのではないか」というものである。

  • ただの錯覚説
これは通常、人間は目を覚ました時に、夢の中で見た人物の顔を正確には覚えていないという考え方から導き出された説であり、「目を覚ました時、夢の中で見た人物の曖昧な顔のイメージが、『This Man』を見たという誤った事実を生み出しただけであり、ただの錯覚のようなものなのではないか」というものである。

その真相とは?

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現在ではすでに変更済みとなっているが、「This Man」の捜索活動を行っている「Ever Dream This Man?」というウェブサイトのWHOIS情報(特定のドメイン名・IPアドレスなどの所有者に関する情報を調べることができる検索システム)によれば、その登録者・管理者には「アンドレア・ナテッラ(Andrea Natella)」という人物の名前が表示されていたことが判明している。

このアンドレア・ナテッラとは、広告代理店「KOOK」の社長を務めているイタリア人の男性であり、このナテッラの会社では「バイラル・マーケティング(感染的な商品宣伝)」と呼ばれる、口コミを利用して低コストで商品やサービスなどを広めるためのマーケティング手法を広く用いていることが判明している。ちなみに「KOOK」とは、英語で「変人」という意味である。

また「This Man」に関する一連の騒動においては、その病院・医師・患者の名前などが一切不明となっており、信憑性に乏しいということが指摘されている。そのため、現在では「This Man」に関する一連の騒動は、全てアンドレア・ナテッラという人物によって捏造・創作され、世界中へと拡散された「壮大なヤラセ」のようなものであると考えられている。

恐らく、その目的としては、このアンドレア・ナテッラの会社が情報の広がり方などを研究・分析していることから、バイラル・マーケティングを使って世界的な規模で情報を拡散することが可能か、実験・検証するためだったと推測される。

現在、この「This Man」に関する一連の騒動については、「実際に起きた出来事」だと信じている者が世界中に多く存在しており、結果的にはアンドレア・ナテッラは大成功を収めたものと言えるだろう。

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管理人から一言

全く、はた迷惑な奴ですね…。