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相手の細かな表情の変化や反応の違い、何気ない発言の内容など、様々な情報から相手の境遇や悩みごとなどを推測し、その相手にあたかも「自分の心の中を全て読み取られている」かのように錯覚させる技術「読心術」。この読心術には様々なテクニックが存在しているが、現在では占い師や霊能者が多く用いているとされる、「ホット・リーディング」と「コールド・リーディング」というテクニックが広く知られており、仕事や趣味、恋愛など日常生活における様々な場面で役立てている者も多い。今回は、このもっともポピュラーな読心術のテクニックともされる、ホット・リーディングとコールド・リーディングについて紹介する。
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「ホット・リーディング」の詳細

「ホット・リーディング」とは、相手との接触に先立ち、あらかじめ事前に得ていた情報を利用することによって、その相手にあたかも「自分の心の中を全て読み取られている」かのように錯覚させ、「この人は何らかの能力を持っており、嘘などは一切通用しない」と信じ込ませるという読心術のテクニックのことである。「ホット」とは「準備あり」、「リーディング」とは「心を読み取る」ということを意味している。

その事前調査の方法としては、自分自身で相手の自宅付近を訪れ、その暮らしぶりを観察したり、インターネット上のウェブサイトや偽物のアンケートを利用して情報を収集することなどが多いとされる。仮に占い師などの場合、自らの弟子などに協力を依頼し、セールスマンを装わせて相手の自宅へと訪問させ、情報を収集する方法などが用いられていることもあるという。

また占い師などのもとを訪れる者は、同時に他の同業者のもとを訪れていることが多いため、それを利用して同業者間で顧客名簿を作成し、その住所や生い立ち家族構成などはもちろん、境遇や悩みごとまで共有しているという悪質なものが確認されている。実際、1925年にユダヤ人の奇術師ハリー・フーディーニが、霊媒師セシル・クックのトリックを見破った際、クックが他の霊媒師との間で密かに情報を交換していた長大な顧客名簿の存在が明らかとなっている。

「コールド・リーディング」の詳細

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「コールド・リーディング」とは、一見すれば何気ない会話に思えるようなやり取りの中において、相手に無意識のうちに自らのことを語らせて、その引き出した情報を利用し、相手にあたかも「自分の心の中を全て読み取られている」かのように錯覚させ、「この人は何らかの能力を持っており、嘘などは一切通用しない」と信じ込ませるという読心術のテクニックのことである。「コールド」とは「準備なし」、「リーディング」とは「心を読み取る」ということを意味している。

このコールド・リーディングには高い観察力と洞察力、何よりも多くの実践経験から得られる経験則が必要となるが、その大まかな手順は下記の通りである。

1. 相手に協力的な姿勢を求める
まず、相手が求めている情報を正確に導き出すには、何よりもその相手自身の協力が必要であることを最初に伝え、自分に対して協力的な姿勢を取ってもらうように求める。この時、相手に説明する内容としては、仮に占い師であれば「私の質問に対して、どんな細かなことでも構いませんので、正直に多くのことを話してください。そうしなければ、あなたの正確な鑑定を行うことができません」、仮に霊能者であれば「もし、あなたの心の中に私に対する疑いの念がある場合、霊の言葉が聞き取り難くなってします。そのため、ここでは私を信頼して、どんなことでも話してください」というような形となる。


2. 一般的で曖昧な質問をする
バーナム効果を利用し、誰にでも当てはまるような一般的で曖昧な質問をして、自分への信頼を少しずつ高めながら、相手の求めている質問や事柄を具体的なものへと限定していく。「バーナム効果」とは、一般的で曖昧な内容が、自分だけに当てはまる具体的で適切な内容だと思い込んでしまうという心理現象のことである。

その質問の内容とは、仮に占い師であれば「あなたには悩みごとがありますね」(占い師のもとを訪れる者で悩みごとのない者は少ない)、「恋愛に関して悩んでいることがありますね」(若い女性の悩みごとの大半は恋愛に関するものであることが多い)、「最近、親族や知り合いに不幸がありましたね」(年配の方であれば、親族や知り合いの数が必然的に多くなり、その年齢層も高くなるため、不幸がある確率は高い)などである。


3. 相手の反応を見る
それらの質問に対する、相手の表情の変化や声の速度・大きさの変化など、細かな反応の違いを観察し、相手が求めている情報を具体的なものへと限定していく。相手の反応が小さく、関心が低いと思われる質問については受け流し、次々と別の質問をする。相手の反応が大きく、関心が高いと思われる質問については、それに付随した情報を別の質問の中で聞き出し、相手が求めている情報の全体像を掴んでいく。

その流れとしては、仮に占い師であれば「恋愛に関して悩んでいることがありますね」の質問に対する、相手の反応が大きかった場合、相手の求めている情報が「恋愛に関するもの」だと仮定する。そして、その相手とは片想いの状態なのか、その相手とは交際している状態なのか、その相手とは失恋した状態なのか、などの細かな情報について直接的な質問は行わず、「先週の三連休は天気が良かったですね。どこかへ遊びに行かれました?」などの別の質問の中で相手に無意識のうちにそれらの情報を語らせるというような形となる。


4. 具体的な質問をする
この時点では、相手は自ら進んで多くのことを話しているという認識は希薄な状態であるため、具体的な質問に対して、「自分が話していないことまで相手は知っている」という錯覚を抱き、その質問者に対して信頼感を感じやすい状態となっている。また初対面の時と比べて、相手の口調が変わって動作や表情の変化が大きくなり、その反応の違いがはっきりと見て取れるようになることもある。仮に相手が完全に心を開いている場合、悩みごととは全く関係のない雑談などを行い、相手の人柄や私生活の情報を得ることができる可能性も高くなる。


5. 目的を実行する
相手の自分に対する信頼感が大きく、妄信的なものになっており、また相手が自分に対して完全に心を開いている状態であれば、自分が何を言っても相手は信じ込む状態になっており、当初の目的を実行することができる可能性が高い。常に人間は不安を取り除き、安心感を得たいと望んでいる心理傾向があるため、相手の心理状態を把握して安堵感を覚えるような言動を取り続ければ振り出しに戻ることは少ない。

「マルチプルアウト」という話術

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しかし、「ホット・リーディング」の際に事前調査した情報に誤りがあったり、「コールド・リーディング」の際に相手が協力的な姿勢を取らなかった場合、これらの読心術のテクニックによって、その相手にあたかも「自分の心の中を全て読み取られている」かのように錯覚させることは難しくなる。

そのような場合、「マルチプルアウト(複数の逃げ道)」という話術のテクニックを同時に用いることにより、自らの発言の内容が破綻しないように手を打つことができる。「マルチプルアウト」とは、いくつもの解釈が可能な広範囲にわたる発言のみを行い、その結果に応じて後付けで局所的な解釈を行うことにより、発言の内容が破綻することを防ぎ、同時に発言の説得力を高めることができるという話術のテクニックのことである。

その理屈的としては、マジシャンの古典的な予言マジックのトリックと同じである。仮にマジシャンが五つのカードの中から一枚を相手に選ばせた後、「あなたの選ぶカードは、最初からわかっていました」と言い、そのカードと同じカードを自分のポケットから取り出すというマジックを披露したとする。この時、マジシャンは最初から衣服に五つのカードを全て忍ばせており、相手が選んだカードを把握した後で同じカードを取り出しているのである。つまり、相手がどのカードを選んでも、結果的には当たるようになっている。

仮に占い師の場合、「恋人ができない」という悩みを持つ女性に対し、「二年以内に運命の男性が現れます」と告げたとする。この時、二年以内にその相手に恋人ができれば、「運命の男性に出会えてよかったですね」と言い、二年以内にその相手に恋人ができれなければ、「あなたは確かに運命の男性に出会っています。しかし、そのことに気がついていないだけです」と言って振り出しに戻り、次はその男性が誰なのかを占うというような形となる。実際には、「運命」以前に「占い」という行為自体が非科学的で曖昧なものであるため、それらの発言の内容は頭の使い方次第でいくつもの解釈が可能となっている。

これらの読心術・話術のテクニックについては、その概念を知らないまま日常生活の中で身に付け、無意識のうちに実践している者もいる。またセールスマンによる営業や警察官による尋問、精神科医によるカウンセリングなどでは、これらの読心術・話術のテクニックがマニュアル的に用いられている。そのようなテクニックに翻弄されないためには、正しい知識を身に付けることが大切なのである。

関連動画

この動画は、アメリカ人の有名な奇術師デビッド・ブレインのストリート・マジックをパロディにして作られた映像である。本人からのクレームが来ないか、心配な内容となっている。



管理人から一言

この記事は、決して全ての占い師の方々を否定するものではありません…。