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「集団座礁(マス・ストランディング)」とは、何らかの理由によって大量のクジラやイルカなどが砂浜や浅瀬などに乗り上げてしまい、自力では脱出することができない状態に陥ってしまうという現象のことである。この集団座礁の発生については世界各国の多くの国々にて報告されているものの、その具体的な原因については未だにわかってはいない。そのため、2011年3月11日に日本の太平洋三陸沖を震源として、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した際、その約1週間前である同年の3月4日には、茨城県の鹿嶋市にある下津海岸にて52頭ものイルカが集団座礁していたことが判明していることなどから、現在では「クジラやイルカの集団座礁は、大地震の前兆なのではないか」とも囁かれている。
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「集団座礁」とは?

「集団座礁(マス・ストランディング)」とは、何らかの理由によって大量のクジラやイルカなどが砂浜や浅瀬などに乗り上げてしまい、自力では脱出することができない状態に陥ってしまうという現象のことである。日本では、古い時代には生きたままの状態で海浜に乗り上げたクジラを「寄り鯨」と呼び、死んだ状態で流れ着いたクジラを「流れ鯨」と呼んでいたものとされている。

この集団座礁の発生については世界各国の多くの国々にて報告されているものの、その具体的な原因については未だにわかってはいない。しかし、一部の種類のクジラやイルカなどは「反響定位(エコロケーション)」という自らの発した音波の反響を利用し、周囲の物体との距離感や位置関係などを把握するための能力を持っていることが知られている。そのため、この能力が海中で発生した何らかの異変などによって狂ってしまい、結果として海浜に乗り上げてしまうものと推測されている。

また2011年3月11日に日本の太平洋三陸沖を震源として、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した際、その約1週間前である同年の3月4日には、茨城県の鹿嶋市にある下津海岸にて52頭ものイルカの一種「カズハゴンドウ」が集団座礁していたことが判明している。そのため、現在では集団座礁と地震の関係性を疑う者が多く存在しており、日本国内では「クジラやイルカの集団座礁は、大地震の前兆なのではないか」とも囁かれている。

「集団座礁」の原因

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この「集団座礁」の原因としては、下記のような意見が挙げられている。
  • クジラやイルカなどは常に群れを形成して行動しているため、小魚の群れを追いかけている際などに誤って浅瀬へと迷い込み、そのまま波に押し戻されているうちに潮が引いてしまい、集団で海浜に乗り上げてしまうのではないか
  • クジラやイルカなどの群れには、基本的にはリーダーが存在しているが、そのリーダーが寄生虫などの影響を受けてエコロケーションの能力が正常に働かなくなり、自らの群れを浅瀬などの場所へと誤って誘導してしまうのではないか
  • 地球の表面を覆っている、大きな岩盤「プレート」の活動によって生じた大きな音波の影響などにより、クジラやイルカなどが混乱し、エコロケーションの能力が正常に働かずに浅瀬へと迷い込んでしまうのではないか

その真相とは?

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現在、この「集団座礁」の原因としては、主に潜水艦などが搭載している、「ソナー」という装置の影響によるものが大きいとする見方がもっとも一般的である。「ソナー」とは、海中を伝播する音波を用いて周囲の物体を捜索・探知・測距するための装置のことである。つまり、ソナーが発する強力な音波により、クジラやイルカなどが持つエコロケーションの能力が正常に働かなくなり、周囲の物体との距離感を誤って認識してしまい、結果的には群れを成したまま一斉に浅瀬へと乗り上げてしまうのである。しかし、過去に集団座礁の報告が寄せられた際、その海域では潜水艦が活動していなかったというケースも確認されており、一概に全ての原因がソナーにあるとは言えるものではなく、その原因は完全には解明されてはいないというのが現状である。

しかし、この集団座礁と地震の関係性については、科学的な根拠や統計的なデータなどは一切確認されておらず、その関係性などは特に存在しないものと考えられている。また水産資源の適切な管理・利用を目的としてクジラやイルカなどの生態の調査を行っている、「日本鯨類研究所」が公表しているデータによれば、この集団座礁は日本周辺では数ヶ月に1回という高い頻度で発生しているにも関わらず、それに関連するような大きな地震は全く確認されてはいない。そのため、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の約1週間前である、同年の3月4日に茨城県の鹿嶋市にある下津海岸にてイルカの集団座礁が発生していたことについては、ただの偶然である可能性が高い。

この集団座礁という現象と地震という自然災害との間に、何らかの関係性が存在しているかのように見えてしまう原因としては、我々が無意識のうちに「地震が起きた」という結果から、「地震前の異常な現象」として集団座礁という要因を探し出し、そこに特別な関係性が存在するものと思い込みやすいためだと考えられる。その結果からさかのぼって原因や要因を分析した場合、そこに何らかの因果関係が存在しているように見えてしまうのは当然のことである。また日本では、古くから「ナマズが暴れると地震が起こる」、「リュウグウノツカイが漂着すると、大きな災害が起こる」などの俗説が存在しており、無意識のうちに水中で暮らす生物と地震との間に何らかの関係性があるものと疑ってしまう傾向があるということも考えられる。

現在、世界各国の多くの国々では、この集団座礁という現象と地震という自然災害との間に何らかの関係性が存在するものと推測している専門家はとても少ない。この集団座礁と地震との間に関係性を見出そうとする姿勢には、「地震大国」として知られる日本特有の地震に対して敏感な傾向が表れているのかもしれない。

関連動画

この動画は、2015年4月10日に茨城県の鉾田市にある海岸にて発生した、約150頭ものイルカが集団座礁した時の映像である。もちろん、この集団座礁に関連があると見られるような大きな地震などは確認されていない。



管理人から一言

「集団座礁」を早口で10回言える人は、すごいです…。